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医薬品 安定供給を実現するグローバル調達戦略|卸からの「在庫なし」を解消 | 田崎藥品

医薬品の安定供給が経営課題となる背景

近年、医薬品の安定供給は医療機関にとって重要な経営課題となっています。背景には、以下のような要因が挙げられます。

  • サプライチェーンの複雑化:医薬品の製造には、原薬の調達、製造、品質管理、流通など、多くの工程が存在し、グローバルなサプライチェーンに依存しています。
  • 地政学的リスク:紛争や政治的な不安定さにより、原薬や医薬品の供給が滞るリスクが高まっています。
  • パンデミック:COVID-19のようなパンデミックが発生すると、需要の急増と供給の混乱が同時に起こり、医薬品の供給不足が深刻化します。
  • 製造上の問題:製造施設の老朽化や品質管理の問題により、医薬品の製造が一時的に停止することがあります。
  • 薬価制度:薬価改定により、製薬企業が特定の医薬品の製造を中止したり、供給量を減らしたりする場合があります。

これらの要因が複合的に絡み合い、医療機関は必要な医薬品を必要な時に確保することが難しくなっています。特に、希少疾病用医薬品や、特定の患者層にしか使用されない医薬品は、供給が不安定になりやすい傾向があります。

医薬品卸の現状と「在庫なし」問題

医療機関は通常、医薬品卸業者を通じて医薬品を調達します。しかし、近年、卸業者から「在庫なし」と言われるケースが増加しており、医療現場に深刻な影響を与えています。

医薬品卸は、製薬企業から医薬品を仕入れ、医療機関に販売する役割を担っています。卸業者は、医薬品の保管、流通、情報提供などのサービスを提供することで、医療機関の医薬品管理業務をサポートしています。しかし、卸業者もまた、上述したサプライチェーンの問題や、製薬企業の製造上の問題、薬価制度の影響などを受け、在庫を十分に確保できない状況に陥ることがあります。

「在庫なし」問題は、医療機関の診療に支障をきたすだけでなく、患者さんの治療にも悪影響を及ぼす可能性があります。例えば、必要な医薬品が手に入らない場合、代替薬を使用せざるを得ない場合がありますが、代替薬が必ずしも患者さんに適しているとは限りません。また、治療の遅延や中断は、患者さんの予後にも悪影響を与える可能性があります。

具体例として、抗がん剤である「シスプラチン(Cisplatin)」や「ドキソルビシン(Doxorubicin)」などが一時的に供給不足となるケースが見られます。これらの薬剤は、様々ながん種の治療に用いられる重要な薬剤であり、供給不足は治療計画に大きな影響を与えます。

グローバル調達網を持つ医薬品商社と契約するメリット

医薬品の安定供給を確保するために、グローバルな調達網を持つ医薬品商社と契約することは、医療機関にとって有効な戦略となります。グローバル調達網を持つ商社は、世界中の製薬企業や卸業者と連携し、医薬品の調達ルートを多様化することができます。

グローバル調達網を持つ商社と契約するメリットは、以下の通りです。

  • 安定供給の確保:複数の調達ルートを持つため、特定の地域や企業の供給が滞った場合でも、他のルートから医薬品を調達することができます。
  • 価格競争力の向上:複数のサプライヤーから見積もりを取り、価格競争を促すことで、医薬品の調達コストを削減することができます。
  • 最新医薬品へのアクセス:海外で承認されたばかりの最新医薬品を、国内で承認される前に調達することができます。(※未承認薬の取り扱いには、関連法規を遵守する必要があります。)
  • 品質管理の徹底:GDP(Good Distribution Practice:医薬品の適正流通基準)を遵守し、品質が保証された医薬品のみを調達します。
  • 情報提供:海外の医薬品に関する最新情報や、規制に関する情報を提供し、医療機関の医薬品管理業務をサポートします。例えば、FDA(米国食品医薬品局)やEMA(欧州医薬品庁)の情報を基にした安全性情報などを提供します。

例えば、免疫チェックポイント阻害薬である「ペムブロリズマブ(Pembrolizumab)」や「ニボルマブ(Nivolumab)」は、様々ながん種の治療に用いられていますが、需要が非常に高く、供給が不安定になることがあります。グローバル調達網を持つ商社は、これらの薬剤を複数のルートから調達し、医療機関に安定的に供給することができます。

医薬品商社を選ぶ際には、以下の点に注意することが重要です。

  • グローバルネットワークの規模:どれだけの数の製薬企業や卸業者と連携しているか。
  • GDP遵守状況:GDPを遵守し、品質管理を徹底しているか。
  • 情報提供能力:海外の医薬品に関する最新情報を提供できるか。
  • 実績:医薬品の輸入代行の実績があるか。

まとめ

医薬品の安定供給は、医療機関にとって重要な経営課題であり、患者さんの治療にも大きな影響を与えます。「在庫なし」問題に悩まされている医療機関は、グローバル調達網を持つ医薬品商社との契約を検討することで、医薬品の安定供給を確保し、経営の安定化を図ることができます。

医薬品の安定供給は、単に経営的な問題だけでなく、患者さんの健康と生活を支えるという重要な社会的責任でもあります。医療機関、製薬企業、卸業者、そして医薬品商社が連携し、医薬品の安定供給体制を構築していくことが重要です。特に、希少疾病用医薬品や、特定の患者層にしか使用されない医薬品については、より一層の配慮が必要です。

また、医薬品の安定供給のためには、サプライチェーン全体の透明性を高め、リスクを早期に検知し、対応できる体制を構築することが重要です。そのためには、デジタル技術を活用したサプライチェーンの可視化や、AIによる需要予測などが有効です。

今後、医薬品の安定供給は、ますます重要な課題となることが予想されます。医療機関は、積極的に情報収集を行い、最適な戦略を策定していく必要があります。