台湾・中国を含む海外から医薬品を調達する際は、製品名や価格だけで判断せず、製造者の許可・GMP適合状況、製品ごとの規制情報、試験成績、保管・輸送条件、輸入国側の手続きを分けて確認することが重要です。特に中国では、2019年12月以降、従来の独立した「Drug GMP certification certificate」は発行されていないため、古い証明書の有無だけで製造品質を評価するのは適切ではありません。
本記事では、台湾のTFDA、中国のNMPAが公開する情報をもとに、医療機関・医薬品関連事業者が国際調達を検討するときの確認ポイントを整理します。
台湾製・中国製医薬品の調達は「供給元」と「輸入先」を分けて確認する
海外医薬品の調達では、同じ製品でも「どこで製造されたか」と「どの国へ輸入するか」で確認事項が変わります。供給元では、製造許可、GMP、流通管理、製品規格、ロット情報などを確認します。一方、輸入先では、その製品が承認済みか未承認か、誰がどの目的で輸入するのか、販売・使用に必要な許可や手続きがあるかを確認します。
この二つを混同すると、「製造国で適切に管理されているから輸入先でも自由に使える」「他国で承認されているから日本でも販売できる」といった誤解につながります。製造国側の適合情報は重要ですが、それだけで輸入・販売・使用の可否が決まるわけではありません。
台湾製医薬品:TFDAで確認したいGMP・GDP情報
台湾では、TFDA(衛生福利部食品藥物管理署)が製薬工場のGMP管理と医薬品流通のGDP管理を行っています。TFDAは2026年8月20日時点のGMP pharmaceutical companies listを公開しており、製造拠点ごとの確認に利用できます。また、2026年8月28日更新の「符合PIC/S GDP藥商名單」では、GDPに適合した事業者と、保管・輸送・冷鏈などの作業内容を確認できます。
したがって台湾製品を検討するときは、単にメーカーから「PIC/S GMP」「GDP対応」と聞くだけでなく、TFDAの公表情報、実際の製造所、流通事業者、製品ラベル・ロットを照合するのが基本です。

台湾製品で最低限確認したい項目
- 製造者名と実際の製造所
- 対象製造所のGMP適合状況
- 流通・保管を担う事業者のGDP適合状況
- 製品名、成分、含量、剤形、包装単位
- ロット番号、使用期限、保管温度
- CoA(試験成績書)など品質資料の入手可否
- 輸出先で必要となる製品・品質・原産地関連書類
田崎藥品の公開サイトでは、台湾の医薬品GDPおよび医療器材GDP認証を取得し、日本・台湾の医療・ヘルスケア製品の国際調達を医療関連事業者向けに支援すると案内しています。具体的な製品の取扱可否は、メーカーの在庫、出荷調整、製造状況、輸入先の法規制などにより変わるため、製品ごとの確認が必要です。
中国製医薬品:Drug Manufacturing CertificateとGMP査察を確認する
中国のNMPAは、医薬品製造活動には省級の薬品監督管理部門による承認とDrug Manufacturing Certificateが必要で、製造はGMPに従い継続的に法定要件へ適合することを求めています。
ここで注意したいのが「GMP証明書」という言い方です。NMPAの2026年7月31日付説明によると、中国では改正Drug Administration Lawが施行された2019年12月1日以降、Drug GMP certification certificateは発行されていません。現在は、規制当局が製造業者のGMP適合性を査察・監督する仕組みです。

そのため、中国製品を評価する際は「有効なGMP certificateを見せてもらう」だけでは不十分です。少なくとも以下を組み合わせて確認します。
- Drug Manufacturing Certificateと製造範囲
- 製造所と製品の紐づき
- 規制当局によるGMP査察・継続適合に関する情報
- 製品の承認・登録状況(該当する場合)
- 輸出向けCoPPなどの証明(必要かつ利用可能な場合)
- CoA、ラベル、ロット、使用期限、保管・輸送条件
2026年から中国の輸出向けCoPP制度が更新
NMPAは2025年に、製薬メーカーが輸出する医薬品の査察と輸出証明に関する新しい規定を公表し、2026年1月1日から施行しています。NMPAの説明では、中国国内のDrug Manufacturing Licenseを持つ製造業者が製造し、輸入国・地域で医薬品として扱われる輸出製品が対象で、製剤、原薬などが含まれます。
また、GMPに従って製造された輸出向け医薬品については、中国国内で販売承認を受けているかどうかにかかわらず、一定の条件のもと輸出証明を申請できるとされています。発行済みCoPPはNMPAサイトで公開検索できる仕組みが案内されています。
ただしCoPPがあれば輸入先で自動的に販売・使用できるわけではありません。CoPPは供給元側の確認材料の一つであり、輸入国側の承認・輸入・販売・使用ルールは別に確認します。
海外医薬品の調達で確認する10の書類・情報
国や製品によって必須書類は異なりますが、調達可否を判断するための初期確認として、次の項目を整理すると比較しやすくなります。

- 製品情報:製品名、一般名・成分、含量、剤形、包装単位
- 製造者情報:製造者名、製造所所在地、実製造所
- 製造許可・GMP:製造国の制度に沿った許可とGMP適合情報
- 製品の登録・承認:製造国・輸入国での位置付け
- CoPP等:輸入先や取引条件で必要となる場合の輸出証明
- CoA:ロットごとの試験成績・品質情報
- ラベル・添付文書:成分、使用方法、警告、保管などの表示
- ロット・使用期限:トレーサビリティと残存期限
- 保管・輸送:常温・冷蔵・冷凍、遮光、温度逸脱時の扱い
- 輸入国側の手続き:輸入者、用途、販売・使用の可否、必要な申請
「CoO(原産地証明)」「PIL(患者向け情報リーフレット等を指す場合があります)」など取引時に求められる書類もありますが、すべての製品・国で同じ書類が必須とは限りません。略称の意味と発行主体を確認し、必要書類を案件ごとに確定します。
台湾・中国を含む海外医薬品の調達可否を確認したい医療関連事業者の方へ
製品名、メーカー名、納入国、用途、希望数量をご記載のうえ、田崎藥品へご相談ください。製品ごとに供給可否、確認可能な品質資料、保管・輸送条件などを確認します。
日本へ治療用に輸入する場合は輸入確認の条件を別途確認
日本で医師等が治療に用いるために未承認医薬品等を輸入する場合、地方厚生局の輸入確認制度が関係します。近畿厚生局は2026年6月25日更新の案内で、治療上の緊急性があり、国内に代替品が流通していない場合で、輸入した医療従事者が自己の責任のもと自己の患者の診断・治療に使用することを目的とする場合に限るとしています。
したがって、「海外で販売されている」「GMP製造所で作られている」という理由だけで、日本の医療機関が自由に輸入・使用できるわけではありません。実際の案件では、製品と用途に応じて最新の厚生局・税関・関係当局の案内を確認します。
国際調達は問い合わせから納品まで段階ごとに確認する

田崎藥品の公開サイトでは、国際貿易の流れを「お問い合わせ → 見積 → 注文・決済 → 商品手配 → 納品」と案内しています。実務では、それぞれの段階で次の確認を重ねます。
- お問い合わせ:製品名、メーカー、希望国、用途、数量を整理
- 供給元確認:製造者、流通経路、在庫・供給状況を確認
- 品質・規制確認:製造許可、GMP、製品資料、ロット、保管条件を確認
- 見積・条件:価格だけでなく、有効期限、輸送条件、必要書類を確認
- 輸入国確認:輸入主体・用途に応じた法規制と手続きを確認
- 納品後:ロット、温度、回収・安全情報を追跡できる状態を保つ
台湾製・中国製医薬品を比較するときに避けたい判断
- メーカーの営業資料だけで承認・認証を判断する
- 「PIC/S」「FDA」「GMP」などの単語だけで品質や販売可否を判断する
- 製造国の許可と輸入国の許可を同一視する
- 価格比較だけでサプライヤーを選定する
- 製造所と販売会社が同じかを確認しない
- ロット、期限、温度条件を発注後まで確認しない
とくに医薬品は、同じブランド名でも製造拠点や市場向け仕様が異なることがあります。製品名だけでなく、実際に納入される製品の製造者・製造所・ラベル・ロットまで確認することが重要です。
よくある質問
台湾製医薬品はPIC/S GMPですか?
台湾ではPIC/S GMPに基づく製薬工場管理が行われていますが、個別製品の判断では実際の製造所とTFDAの公表情報を照合する必要があります。「台湾製」というだけで一律に判断しないことが重要です。
中国の製薬会社にGMP certificateを依頼すれば十分ですか?
十分とはいえません。NMPAは2019年12月以降、従来の独立したDrug GMP certification certificateを発行していないと説明しています。現在のDrug Manufacturing Certificate、製造範囲、GMP査察・継続適合、製品情報、必要に応じてCoPP等を組み合わせて確認します。
CoPPがあれば日本に輸入できますか?
CoPPだけで日本への輸入・販売・使用可否は決まりません。CoPPは供給元側の証明資料の一つです。日本側では輸入主体、製品区分、用途、承認状況などに応じた制度を別途確認します。
田崎藥品では台湾・中国製医薬品を相談できますか?
田崎藥品の公開サイトでは、日本・台湾の医療・ヘルスケア製品の国際調達を医療関連事業者向けに案内しています。中国を含むその他地域の製品についても、具体的な製品名、メーカー、納入国、用途、数量を明示して、調達可否を個別に確認する方法が適切です。供給可否は在庫・メーカー条件・各国規制により変わります。
まとめ
台湾・中国製医薬品の国際調達では、「海外製だから」「GMPだから」という一つの情報だけで判断せず、製造許可、GMP、CoPP等の輸出証明、CoA、製品ラベル、ロット、保管・輸送、輸入国の法規制を分けて確認する必要があります。
台湾ではTFDAのGMP製薬会社リストやGDP適合事業者リスト、中国ではNMPAのDrug Manufacturing Certificate、GMP監督・査察、2026年からのCoPP制度など、公的情報を確認する経路があります。これらを製品ごとの資料と照合することで、価格だけでは見えない調達リスクを減らしやすくなります。
台湾・中国を含む海外医薬品の調達可否を確認したい医療関連事業者の方へ
製品名、メーカー名、納入国、用途、希望数量をご記載のうえ、田崎藥品へご相談ください。製品ごとに供給可否、確認可能な品質資料、保管・輸送条件などを確認します。
参考情報
- TFDA GMP Pharmaceutical Companies List
- TFDA 符合PIC/S GDP藥商名單
- NMPA Provisions for the Supervision and Administration of Drug Manufacturing
- NMPA Explanatory Notes on GMP Certificates and CoPP
- NMPA Export Certificate / CoPP Policy Interpretation
- 近畿厚生局:医師等が治療に用いるために輸入する場合
- 田崎藥品:医薬品の安定供給を実現するグローバル調達戦略